5月31日から農林水産省が保有する政府備蓄米の一部が、5キロ2,000円(税抜)という破格の価格で一般向けに販売されることが報道され、SNSやニュースでもちょっとした話題になりました。
「これはお得!」
と思った私。
さっそく発売初日の午後から近所のスーパーをチェックしてきました。
激安備蓄米を求めてスーパーへ行ってみたが…
向かったのは宝塚市内にあるディスカウント系のサンディと地域密着型の万代。
しかし、目当てだった5キロ2,000円の「激安備蓄米」は、どちらの店でもまだ並んでいませんでした。
担当者に聞いても、入荷予定は未定とのこと。
店頭に並んでいたのは木徳神糧「わが家のお米 楽しい食卓」
代わりに棚にずらりと並んでいたのが、見慣れないお米のパッケージ。
その名も「わが家のお米 楽しい食卓」。
販売元は、業務用米の大手・木徳神糧(きとくしんりょう)です
午後1時に訪れたサンディでは、5キロ袋が残り1つのみ。
対して、万代では午後3時の時点でもまだ10キロ袋が山積みになっていました。
値段を見てみると以下のとおり
・サンディ:5kg → 税抜3,350円(税込3,618円)
・万代:10kg → 税抜6,580円(税込7,106円)
5キロで3,600円台という価格は、一見すると“激安”とは言えません。
でも、最近の米価格の高騰ぶりを考えると、これはまだリーズナブルな部類です。
たとえば、新潟県産コシヒカリなどのブランド米は、最近では5キロ4,800円以上することもざら。
そう考えると、この木徳神糧のお米は「高コスパ米」として検討の余地ありです。
実際、私の自宅の台湾産のお米がちょうど切れかけていたので、試しにサンディで1袋購入してみました。
原材料をチェックすると「複数原料米 国内産」
裏面の表示をチェックしてみると、「原料玄米:複数原料米(国内産)」と記載されていました。
つまり、いわゆるブレンド米。
品質の安定性はありますが、銘柄米のような味わいの特徴はあまり期待できません。
とはいえ、「国産米」でこの価格であれば、十分に日常使いできるレベルだと思います。
でも…なぜ今、このお米が急に出回り始めたのか?
個人的に気になったのは、このお米が先週までは店頭に見かけなかったという点です。
いろいろと調べてみると、興味深い背景が見えてきました。
今年(2025年)3月、政府は備蓄米の一部放出を開始しました。
この際、大手の米穀業者などが入札を通じて米を購入。
おそらく木徳神糧もそのときに米を仕入れ、倉庫でストックしていたのではないかと推測できます。
そして5月下旬、小泉農水大臣が
「5キロ2000円で備蓄米を販売する」
と正式に発表。
その直後から、『楽しい食卓』が宝塚市内のスーパーに登場し始めました。
精米時期を見ると25年5月下旬となっていました。
まるで
「政府の激安米が出回る前に、在庫を売り切ってしまおう」
という動きに見えなくもありません。
転売とは違うけれど…モヤッとする戦略
もちろん、法律的にはまったく問題ありません。
企業が仕入れた米を自社ブランドで販売するのは、商売としては正当です。
ただ、タイミングを考えると、消費者としてはどこか腑に落ちないというか、
「先に“それっぽい商品”を高めに売って、激安品の登場を待たずに売り切ろうとしてるのでは?」
と、うがった見方をしてしまうのも無理はありません。
木徳神糧は過去最高益を記録中
なお、木徳神糧は昨年から続く米不足や価格高騰を追い風に、2025年12月期の決算で過去最高益を更新したと報じられています。
つまり、原料の入手や在庫管理のタイミングが非常にうまくいったということでしょう。
まさに商売上手。
ただ、その“上手さ”が消費者目線で見てモヤモヤするのもまた事実です。
今後、真の「激安備蓄米」が登場するのはいつ?
政府発表によれば、備蓄米の販売は段階的に全国へと広がる予定。
すでに一部の生協やスーパーでの取り扱いが始まっているようですが、大手チェーンへの本格導入はまだこれからの模様。
これからの動きを注視しつつ、どのタイミングでどんなルートから販売されるのか、見極める必要がありそうです。
そして、こうした“備蓄米に似た商品”が今後も増える可能性もあるので、消費者としてはラベル表示や価格帯をよく見て、冷静に判断したいところです。
まとめ
激安備蓄米を買うつもりが、思わぬお米に出会ってしまった今回の体験。
単なる買い物のようでいて、実は今の米市場の動きや企業の戦略が垣間見える興味深い出来事でもありました。
「本当にお得なのはどれか?」
を見極める力が、これからますます問われそうです。
0 コメント